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bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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写像

今回は、数学で重要な概念となる写像について書く。なぜ、重要かというと、集合の最初の方の記事で書いたが、現代数学のほとんどは集合と写像を用いて記述されるからである。 とりあえず、以下の記事の演習の解答から bananake-tai.hatenablog.com

演習

1.$A\times (B\cup C)=(A\times B)\cup (A\times C)$ を示せ。

証明1

$$ \begin{align} (a,x)\in A\times (B\cup C)&\Leftrightarrow (a\in A)\land (x\in B\cup C)\\ &\Leftrightarrow (a\in A)\land (x\in B\lor x\in C)\\ &\Leftrightarrow (a\in A\land x\in B)\lor (a\in A\lor x\in C)\\ &\Leftrightarrow ((a,x)\in A\times B)\lor ((a,x)\in A\times C)\\ &\Leftrightarrow (a,x)\in (A\times B)\cup (A\times C)\\ \end{align} $$

$\Box$

高校で関数というものを扱ったと思う。以下の記事で、高校で使われている関数の表記 $f(x)$ が対応という概念が強調されていると書いたと思う。 bananake-tai.hatenablog.com

もっと一般的に、対応という概念を拡張させてみる。対応という概念は我々が生きている中で色々使われている。 たとえば、スーパーに行ったときに、豚肉、バナナ、牛乳など売られている商品には、そろぞれ値段がついていると思う。 それぞれ、豚肉は300円、バナナは100円、牛乳は150円とすると、まさしくこれは対応である。商品にたいして値段が対応してつけれれている。 少し、数学的に書くと、$X=\{豚肉、バナナ、牛乳\},Y=\{300,100,150\}$ とすると、$X$ の元から $Y$ の元への対応をづけを考えていることになる。図で書くと以下のような感じである。

f:id:bananake-tai:20170324192454j:plain:w400

以上のような感覚で、写像というのを定義する。

定義(感覚的な写像

集合 $X$ の任意の元に対して、集合 $Y$ の元をただひとつ対応させる規則が定めれれているとき、その規則を、 $X$ から $Y$ への写像といい、$f:X\to Y$ と書く。

例(写像

$X=\{a,b\},Y=\{1,2,3\}$ とする。

f:id:bananake-tai:20170324192527j:plain:w400

例(写像でない)

$X=\{a,b,c\},Y=\{1,2,3\}$ とする。

f:id:bananake-tai:20170324192553j:plain:w400

この対応規則の決め方は写像ではない。なぜなら、$b\in X$ に対しては、$Y$ の元が対応していないので、写像ではない。

とりあえず、まだ数学に慣れていない人は、こんな感じで理解できれば良いと思う。実際、教科書にもこのような定義で記載している本もたくさんある。 しかし、規則とかいうあいまいな言葉がでてくるのは数学上あまりよろしくないので、きちんとした定義をしたい。

定義(写像

$X,Y$ を集合とし、$f\subset X\times Y$ とする。
$X$ の任意の元 $x$ に対して、$(x,y)\in f$ となる $B$ の元 $y$ がただひとつ存在するとき、$f$ を $X$ から $Y$ への写像といい、$f:X\to Y$ と書く。
$x\in X$ に対して定まる $y\in Y$ を $f$ による $x$ の像といい、$f(x)$ と書く。$y=f(x)$ を $x\mapsto y$ ともかく。
また、$X$ を $f$ の定義域といい、$Y$ を $f$ の値域という。

ここで、感覚的な写像の定義ででてきた規則というのが、直積の部分集合なるものとわかった。
論理式にもなれてほしいので、写像の定義を論理式で書く。

定義(論理式での写像1)

$X,Y$ を集合とし、$f\subset X\times Y$ とする。
$f$ が $X$ から $Y$ への写像である
$\overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow}\forall x\in X,\exists 1y\in Y;(x,y)\in f$

また、ただ1つ存在するということを明確にするため、次の定義でもよい。

定義(論理式での写像2)

$X,Y$ を集合とし、$f\subset X\times Y$ とする。
$f$ が $X$ から $Y$ への写像である
$ \begin{align} \overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow} \left\{ \begin{array}{l} (1)\ \forall x\in X,\exists y\in Y;(x,y)\in f \\ (2)\ \forall x\in X,\forall y,y'\in Y[(x,y),(x,y')\in f)\Longrightarrow y=y'] \end{array} \right. \end{align} $

今後特に断りがない場合、$f:X\to Y$ と書いたら、集合 $X,Y$ は定義されているものとする。

例(写像でない)

$X=\{a,b,c\},Y=\{1,2,3\}$ とする。 $X\times Y\supset f=\{(a,1),(b,1),(c,3),(a,2)\}$
とすると、これは写像ではない。なぜなら、$a\in X$ に対して、$(a,1),(a,2)\in f$ なる $1,2\in Y$ が存在するので、1つに定まらないからである。

例(写像

$\mathbb{R}\times \mathbb{R}\supset f=\{(x,x^{2})\mid x\in \mathbb{R}\}$
とすると、$f$ は $\mathbb{R}$ から $\mathbb{R}$ への写像となる。図で表すと以下のようになる。

f:id:bananake-tai:20170326085622j:plain:w300

定義(写像の相等)

$f,g:X\to Y$
$f$ と $g$ が等しい$\overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow}\forall x\in X,f(x)=g(x)$

つまり写像が等しいとは、任意の $X$ の元に対して、$f$ と $g$ の送り先が等しいということである。

演習

1.写像の例とそうでない例を2つずつあげよ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

鎌田正良, 集合と位相, 近代科学社, 2015.
斎藤正彦, 数学の基礎, 東京大学出版会, 2014.
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 2004.
内田伏一, 集合と位相, 裳華房, 2013.