bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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像と逆像

以下の記事の続きを書く。 bananake-tai.hatenablog.com

写像の例で重要な例を3つ述べる。

例(定値写像

$X,Y$ を集合とする。$y_0\in Y$ を1つ固定する。$f:X\to Y$ を $x\longmapsto y_0$ と定義する。 この写像を $X$ から $Y$ への定値写像という。イメージ図を2つ載せておくので、分かりやすい方でイメージもらいたい。

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これは定義通り部分集合でイメージした図である。全部同じ元に写るので、写り先を表すと直線になる。

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こちらのほうは、写った元が一点へつぶれているという感じを強く表した図である。

例(恒等写像

$X$ を集合とする。$1_X:X\to Y$ を $x\longmapsto x$ と定義する。 この写像を $X$ 上の恒等写像という。$1_X$ を $id_X$ ともかく。

例(空写像

定義域が空集合写像は存在するかどうかを考えていきたい。
$X=\varnothing$ とする。$X\times Y=\varnothing$ であり、$f=\varnothing$ とすると、$f\subset X\times Y$ である。 これで定義域が空集合写像が存在することがいえた。この写像を空写像という。また、空写像の一意性も言える。なぜなら、 空集合の部分集合は空集合のみなので $f\subset X\times Y$ とすると $f=\varnothing$ である。
空集合の部分集合が空集合のみというのは演習にしたい。

写像に関する定義を続ける。

定義(像)

$f:X\to Y$
$A\subset X$ とする。 $$ \{f(x)\mid x\in A\} $$ を $f$ による $A$ の像といい、$f(A)$ で表す。つまり、 $$ y\in f(A)\Leftrightarrow \exists x\in A;y=f(x) $$ である。

また、$A=\{a\}$ のとき、$f(\{a\})$ と $f(a)$ を同一視することもあるが、厳密には、$f(\{a\})$ は $\{f(a)\}$ のことである。

像とは以下の図のようなイメージである。

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練習問題

$f:X\to Y$
$A,B\subset X$ とする。このとき、 $$ A\subset B \Rightarrow f(A)\subset f(B) $$ を示せ。

証明

$$ \begin{align} x\in f(A)&\Leftrightarrow \exists x\in A;y=f(x)\\ &\Rightarrow \exists x\in B;y=f(x)\\ &\Leftrightarrow x\in f(B) \end{align} $$

$\Box$

定義(逆像)

$f:X\to Y$
$B\subset Y$ とする。 $$ \{x\in X\mid f(x)\in B\} $$ を $f$ による $B$ の逆像といい、$f^{-1}(B)$ で表す。つまり、 $$ x\in f^{-1}(B)\Leftrightarrow f(x)\in B $$ である。

$B=\{b\}$ のとき $f^{-1}(\{b\})$ を $f^{-1}(b)$ ともかく。

この先、逆写像というものがでてくるがそれと逆像を混同しないようにしてほしい。このことは、特に雪江先生の代数学1に注意深く書いてある。 このことは、逆写像というものが出てきたときにもう一度注意する。

逆像とは以下の図のようなイメージである。

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$X=\{1,2,3,4\},Y=\{a,b,c,d\}$ とする。
$f:X\to Y$ を、
$f(1)=a$
$f(2)=a$
$f(3)=b$
$f(4)=c$
と定める。
$B=\{a,c\}$ としたとき、$B$ の逆像は $f^{-1}(B)=\{1,4\}$ となる。
$B=\{d\}$ としたとき、$B$ の逆像は $f^{-1}(B)=\varnothing$ となる。
$B=\{a,b,d\}$ としたとき、$B$ の逆像は $f^{-1}(B)=\{1,2,3\}$ となる。

練習問題

$f:X\to Y$
$A,B\subset Y$ とする。このとき、 $$ f^{-1}(A\cap B)=f^{-1}(A)\cap f^{-1}(B) $$ を示せ。

証明

$$ \begin{align} x\in f^{-1}(A\cap B)&\Leftrightarrow f(x)\in (A\cap B)\\ &\Leftrightarrow (f(x)\in A)\land (f(x)\in f(B))\\ &\Leftrightarrow x\in f^{-1}(A)\land x\in f^{-1}(B)\\ &\Leftrightarrow x\in f^{-1}(A)\cap f^{-1}(B) \end{align} $$

$\Box$

演習

  1. 空集合の部分集合は空集合のみであることを示せ。
  2. $f:X\to Y$ $A,B\subset X$ とする。このとき、
    2.1 $f^{-1}(f(A))\supset A$ を示せ。
    2.2 $f(A\cap B)\subset f(A)\cap f(B)$ を示せ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

鎌田正良, 集合と位相, 近代科学社, 2015.
斎藤正彦, 数学の基礎, 東京大学出版会, 2014.
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 2004.
内田伏一, 集合と位相, 裳華房, 2013.