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bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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合成写像と写像の制限

以下の記事の続きを書く。 bananake-tai.hatenablog.com

まずは演習の証明からする。

演習

  1. 空集合の部分集合は空集合のみであることを示せ。
  2. $f:X\to Y$ $A,B\subset X$ とする。
    2.1 $f^{-1}(f(A))\supset A$ を示せ。
    2.2 $f(A\cap B)\subset f(A)\cap f(B)$ を示せ。

証明1

つまり、$「A\subset \varnothing \Rightarrow A=\varnothing」$ を示す。
$A\neq \varnothing$ とする。
$x\in A \Rightarrow x\in \varnothing$ は仮定は真で結論が偽なので、偽となる。
よって、$A\subset \varnothing \Rightarrow A=\varnothing$ は仮定が偽なので、真となる。
すなわち、空集合の部分集合は空集合のみである。

$\Box$

証明2.1

$$ \begin{align} x\in A &\Rightarrow f(x)\in f(A)\\ &\Leftrightarrow x\in f^{-1}\left(f(A)\right) \end{align} $$ よって、$f^{-1}(f(A))\supset A$

$\Box$

ここで注意していただきたいのは、$f^{-1}(f(A))=A$ とはならないということである。
イメージ的には以下の図のようなことが起こっている。

f:id:bananake-tai:20170327172632j:plain:w400

つまり、$X-A$ の元で $f(A)$ に写る元があるということである。

実際の例をあげると、$f:\mathbb{R}\to \mathbb{R}$ を $f(x)=x^{2}$ と定める。$A=\{2,3\}$ とすると $f(A)={4,9}$ なので $f^{-1}\left(f(A)\right)=\{\pm 2,\pm3\}$ となる。 よって、$f^{-1}\left(f(A)\right)\not\subset A$ となって、イコールは成り立たない。

2.2は証明は2つの証明方法を紹介する。

証明2.2(1)

$$ \begin{align} y\in f(A\cap B)&\Leftrightarrow \exists x\in A\cap B\ ;y=f(x)\\ &\Leftrightarrow x\in A\land x\in B\\ &\Leftrightarrow f(x)\in f(A)\land f(x)\in f(B)\\ &\Leftrightarrow f(x)\in f(A)\cap f(B)\\ &\Rightarrow y\in f(A)\cap f(B) \end{align} $$ よって、$f(A\cap B)\subset f(A)\cap f(B)$

$\Box$

証明2.2(2)

$A\cap B\subset A$ なので $f(A\cap B)\subset f(A)$ である。また、$A\cap B\subset B$ なので $f(A\cap B)\subset f(B)$ である。
よって、 $f(A\cap B)\subset f(A)\cap f(B)$ が成立する。

$\Box$

これも、一般的にはイコールは成り立たない。つまり、$f(A\cap B)=f(A)\cap f(B)$ は成立しない。成立しないときどのような状況になっているのか 上記のように自分で図を使って示してほしい。これは演習とする。

高校数学で合成関数というのを習ったと思う。簡単にかくと $g\left(f(x)\right)$ のようなものである。これをきちんと定義する。

定義(合成関数)

$f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
$g\circ f:X\to Z$ を $$ (g\circ f)(x)=g\left(f(x)\right) $$ と定義した写像を $f$ と $g$ の合成写像という。部分集合としてかくなら、 $$ g\circ f=\{(x,z)\in X\times Z\mid (f(x),z)\in g\} $$ である。

いくつか合成写像に関してのイメージ図を載せる。まずは、具体的な行き先が指定されている図である。

f:id:bananake-tai:20170330125919j:plain:w500

簡単なイメージだと以下のような図を考えていただければわかりやすいと思う。

f:id:bananake-tai:20170330125955j:plain:w500

部分集合としてイメージするなら、私は以下の図のように考えるとよいと思う。3次元になってしまい少しわかりにくいかもしれないが。。。

f:id:bananake-tai:20170330130158j:plain:w400

合成写像のみたす良い性質として次の定理がある。

定理

$f:X\to Y,g:Y\to Z,h:Z\to W$ とする。このとき、 $$ h\circ (g\circ f)=(h\circ g)\circ f $$ が成立する。

証明

$\forall x\in X$ とする。
$$ \left(h\circ (g\circ f)\right)(x)=h\left((g\circ f)(x)\right)=h\left(g\left(f(x)\right)\right)\\ ((h\circ g)\circ f)(x)=h\circ g\left(f(x)\right) =h\left(g\left(f(x)\right)\right) $$ よって、$h\circ (g\circ f)=(h\circ g)\circ f$ である。

定義(包含写像

$A\subset X$ とする。
$i:A\to X$ を $i(a)=a$ と定義した写像を $X$ に対する $A$ の包含写像という。

包含写像とは、以下の図のようなイメージである。

f:id:bananake-tai:20170328213129j:plain:w400

定義(制限)

$f:X\to Y$ とし、$A\subset X$ とする。
$f|_A:X\to Y$ を$f|_A(a)=f(a)$ で定義した写像を、$f$ の $A$ への制限という。
また、$f$ は $f|_A$ の $A$ への延長であるという。 つまり、$f|_A=f\circ i$ である。

制限とは、以下の図のようなイメージである。

f:id:bananake-tai:20170328225215j:plain:w400

演習

  1. 一般的には、$f(A\cap B)=f(A)\cap f(B)$ は成立しない。成立していない状況を図で示せ。
  2. $f:X\to Y$ とし、$B\subset Y$ とする。このとき、
    $f\left(f^{-1}(B)\right)\subset B$ を示せ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

鎌田正良, 集合と位相, 近代科学社, 2015.
斎藤正彦, 数学の基礎, 東京大学出版会, 2014.
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 2004.
内田伏一, 集合と位相, 裳華房, 2013.
雪江明彦, 代数学1, 日本評論社, 2015. http://www.math.chs.nihon-u.ac.jp/~ichihara/Labo/Notes/2010/3rd/0607.pdf