bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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全射と単射2

以下の記事の続きを書く。 bananake-tai.hatenablog.com

演習

  1. $f:X\to Y$ とし、$B\subset Y$ とする。このとき、次の $(1),(2)$ は同値である。
    $(1)\ f$ は全射である。
    $(2)\ B\subset Y\Rightarrow f\left(f^{-1}(B)\right)=B$
  1. $f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。このとき、$f,g$ がともに単射ならば、$g\circ f$ も単射であることを示せ。

証明1

$\underline{(1)\Rightarrow (2)}$
すでに、$「f\left(f^{-1}(B)\right)\subset B」$ は示したので、$「f\left(f^{-1}(B)\right)\supset B 」$ を示す。
$\forall \in B$ を1つ固定する。
$g$ は全射なので、$\exists x\in X\ ;y=f(x)$
$f(x)\in B$ なので、$x\in f^{-1}(B)$
よって、$f(x)\in f\left(f^{-1}(B)\right)$
したがって、$y\in f\left(f^{-1}(B)\right)$ なので、$f\left(f^{-1}(B)\right)\supset B$
すなわち、$f\left(f^{-1}(B)\right)=B$ である。

$\underline{(1)\Leftarrow (2)}$
$\forall y\in Y$ を1つ固定する。
$B=\{y\}$ とすると、$B\subset Y$ なので、仮定より、$f\left(f^{-1}(\{y\})\right)=\{y\}$
また、$y\in f\left(f^{-1}(B)\right)$ なので、$\exists x\in f^{-1}(B)\ ;y=f(x)$
特に、$x\in X$ でもあるので、$f$ は全射である。

$\Box$

証明2

$\forall x,x'\in X$ を1つ固定する。
$(g\circ f)(x)=(g\circ f)(z')$ とする。
今、$g(f(x))=g(f(x'))$ であり、$f(x),f(x')\in Y$
$g$ は単射なので、$f(x)=f(x')$
また、$f$ は単射なので、$x=x'$
よって、$(g\circ f)(x)=(g\circ f)(z')\Rightarrow x=x'$ なので $g\circ f$ は単射である。

$\Box$

合成写像に関しての全射性や単射性の考察を続けていく。
上記の演習で証明したが、$f,g$ が単射のとき、$g\circ f$ は単射であったが、$g\circ f$ が単射のとき $f,g$ はともに単射になるのだろうか。 これは、一般的には成り立たない。ただし、$f$ は単射にならなければならない。

命題1

$f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
$g\circ f$ が単射なら $f$ は単射である。

証明

$\forall x,x'\in X$ を1つずつ固定する。   $$ \begin{align} x\neq x' &\Rightarrow (g\circ f)(x)\neq (g\circ f)(x')\\ &\Rightarrow g(f(x))\neq g(f(x'))\\ &\Rightarrow f(x)\neq f(x') \end{align} $$ よって、$f$ は単射である。

$\Box$

$g$ 単射にならない状況として以下の図がイメージできる。

f:id:bananake-tai:20170401133217j:plain:w400

一般的に、$g\circ f$ が全射のときにも $f,g$ はともに全射になるはならない。これは演習とする。
では、$g\circ f$ が単射であるとき、$g$ が単射になるときはどんなときであろうか。

命題2

$f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
$g\circ f$ が単射で、$f$ が全射ならば、$g$ は単射である。

証明

$\forall y,y'\in Y$ を1つずつ固定し、$g(y)=g(y')$ とする。
$f$ は全射なので、$\exists x,x'\in X\ ;y=f(x)\ ,y'=f(x')$
また、$g\circ f$ は単射なので、 $$ \begin{align} g(f(x))=g(f(x'))&\Rightarrow x=x'\\ &\Rightarrow f(x)=f(x')\\ &\Leftrightarrow y=y' \end{align} $$ よって、$g$ は単射である。

$\Box$

要素の数が等しい有限集合に関しては全射単射が同値になることは図に書けば当たり前のように思えるが、厳密に証明しようとすると結構難しい。 数学では、当たり前と思えると思うものほど証明が難しいものである。証明を厳密化するのは今後すこしずつやるとして、大まかな流れを説明する。

命題3

$X,Y$ を有限集合とし、$|X|=|Y|$ とする。このとき、$g:X\to Y$ に対し、次の $(1),(2)$ は同値である。
$(1)\ g$ が単射である
$(2)\ g$ が全射である

証明

$\underline{(1)\Rightarrow (2)}$
$f$ は単射なので、$|f(X)|=|X|$
$|X|=|Y|$ なので、$|f(X)|=|Y|$
よって、$f(X)\subset Y$ なので、$f(X)=Y$ となり、$f$ は全射である。

$\underline{(2)\Rightarrow (1)}$
$g$ は全射なので、$\forall y\in Y\ ,\exists x\in X\ ;y=g(x)$
したがって、$\forall y\in Y$ に対し、$x\in X$ を1つ選んで固定できる。
ここで、$f:Y\to X$ を $y\mapsto x$ によって定義する。
$(g\circ f)(y)=g(f(y))=y$ となるので、$g\circ f$ は $Y$ 上の恒等写像になる。
よって、$g\circ f$ は単射なので、命題1より、$f$ は単射である。
また、$(1)$ より、$f$ は全射である。
よって、命題2より $g$ は単射である。

$\Box$

注意しておくと、$(2)\Rightarrow$ は大丈夫だが、$(1)\Rightarrow (2)$ は多々厳密でないところがある。

今までは、有限集合を中心に要素の多い少ないで全射単射をとらえていたが、無限集合の場合も同様に考えていいのだろうか。

$(\{0\}\cup \mathbb{N})=N$ とおき、$f:N\to \mathbb{N}$ を考える。
このとき、要素の個数としては感覚的には $\mathbb{N}$ より $N$ の方が多いと思う。なので、単射構成できないのではないかと思うが以下のようにして単射構成できるのである。
$m\mapsto m+1$ という対応を考えると、 $$ f=\{(m,m+1)\mid m\in N\}\subset N\times \mathbb{N} $$ なので、これはきちんと写像になっていて、さらに、$\forall m,m'\in N$ に対して、 $$ m+1=m'+1\Rightarrow m=m' $$ なので、単射である。
このように、無限集合の場合は有限集合の場合と変わってくるので注意が必要である。

演習

  1. $f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
    $g\circ f$ が全射なら、 $g$ は全射であることを示せ。
  2. $f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
    $g\circ f$ が全射で、 $g$ がが単射ならば、$f$ は全射であることを示せ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

雪江明彦, 代数学1, 日本評論社, 2015.
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 2004.
http://www.math.tohoku.ac.jp/~ishida/group13/group131014.pdf
yoshiiz.blog129.fc2.com