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bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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逆写像1

以下の記事の続きを書く。

bananake-tai.hatenablog.com

まずは、演習の証明からする。

演習

  1. $f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
    $g\circ f$ が全射なら、 $g$ は全射であることを示せ。
  2. $f:X\to Y,g:Y\to Z$ とする。
    $g\circ f$ が全射で、$g$ が単射ならば、$f$ は全射であることを示せ。

証明1

$g\circ f$ は全射なので、$\forall z\in Z\ ,\exists x\in X\ ;z=(g\circ f)(x)$
よって、$f(x)\in Y$ で $z=g(f(x))$ なので $g$ は全射である。

$\Box$

$f$ が全射とならない状況として以下の図をイメージしてもらいたい。

f:id:bananake-tai:20170401133726j:plain:w400

証明2

$y\in Y$ を1つ固定する。
$g(y)\in Z$ であり、 $g\circ f$ は全射なので、$\exists x\in X\ ;g(y)=(g\circ f)(x)=g(f(x))$
$g$ は単射なので、$y=f(x)$
よって、$f$ は全射である。

$\Box$

今までは、全単や単射について、要素の個数や合成写像などに注目して性質を調べてきた。 全単射を考える理由として、もうひとつ重要なことがある。それは、逆写像というものを考えられるということである。 逆写像を形式的に導入していく。

命題1

$f:X\to Y$ とする。次の3つが成立する。
1. $\exists g:y\to X\; f\circ g=1_Y\Rightarrow f$ は全射である。
2. $f$ は単射である。$\Leftrightarrow \exists g:Y\to X\ ;g\circ f=1_X$
3. $f$ は全単射である。$\Leftrightarrow \exists g:Y\to X\ ;g\circ f=1_X$ かつ $f\circ g=1_Y$

証明1

$\forall y\in Y$ を1つ固定する。
$f\circ g$ は $Y$ 上の恒等写像なので、$(f\circ g)(y)=y$
よって、$g(y)\in Y$ で $f(g(y))=y$ なので、$f$ は全射である。

$\Box$

証明2

$(\Rightarrow)$
$f$ は単射なので、$\forall y'\in f(X)\ ,\exists 1x\in X\ ;y'=f(x)$
$\forall x_0\in X$ を1つ固定する。
$g:Y\to X$ を次のように定める。

$$ \begin{align} g(y)= \left\{ \begin{array}{l} x&(y\in f(X)\Leftrightarrow \exists 1x\in X\ ;y=f(x)) \\ x_0& (y\in Y-f(X)) \end{array} \right. \end{align} $$

よって、$g(f(x))=x$ なので、 $g\circ f=1_X$ である。

上記の証明で定義した写像 $g$ のイメージは以下の図ようなものである。

f:id:bananake-tai:20170402154705j:plain:w400

$(\Leftarrow)$
$\forall x,x'\in X$ に対して、$f(x)=f(x')$ とする。
今、$\exists g:Y\to X\ ;g\circ f=1_X$ なので、 $$ \begin{align} f(x)=f(x')&\Leftrightarrow (g\circ f)(x)=(g\circ f)(x')\\ &\Leftrightarrow x=x' \end{align} $$ よって、$f$ は単射である。

$\Box$

証明3

$(\Rightarrow)$
$f$ は全単射なので、$\forall y\in Y\ ,\exists 1x\in X\ ;y=f(x)$
このような $x$ に対し、$g:Y\to X$ を $g(y)=x$ と定める。
すなわち、$(f\circ g)(y)=f(g(y))=y$
また、$g$ の定め方より、$(g\circ f)(x)=x$
よって、$g\circ f=1_X$ と $f\circ g=1_Y$ が成立する。

$(\Leftarrow)$
命題1.1と1.2より明らかである。

$\Box$

命題1より次の系を得る。

系1

$f:X\to Y$ を全単射とする。 このとき、
$\exists g:Y\to X\ ;g\circ f=1_X$ かつ $f\circ g=1_Y$ なる $g$ は全単射である。

証明

命題1.3に関して、$f$ と $g$ を入れ替えればよい。

$\Box$

定義(逆写像1)

$f:X\to Y$ を全単射とする。
系1により定められた $g$ を逆写像といい、$f^{-1}$ と表す。

さらに、逆写像は一意に定まる。これは演習とする。 以上のように逆写像を定義すると少しわかりにくいが、命題1.3の $g$ の構成方法から以下のように逆写像しても同じことが言える。

定義(逆写像2)

$f:X\to Y$ を全単射とする。
つまり、次の性質を満たす。 $$ \forall y\in Y\ ,\exists 1x\in X\ ;y=f(x) $$ これは、$g:Y\to X$ という写像が存在することを示している。 この、写像 $g$ を逆写像といい、$f^{-1}$ と表す。
直積の部分集合で表せば、 $$ g=\{(f(x),x)\mid x\in X\} $$ ということである。

こちらの定義の方がわかりやすいと思う。本当に定義2の逆写像と定義1の逆写像が同値になるかを調べるのは次回にする。

演習

  1. 写像の定義1で逆写像の一意性を証明せよ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

鎌田正良, 集合と位相, 近代科学社, 2015.
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 2004.