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bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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群の準同型写像

今回は以下の続きで準同型写像というものについて書く。

bananake-tai.hatenablog.com

まずは演習をとく。

演習

  1. 群 $G$ の逆元は一意的であることを示せ。

証明

$\forall a\in G$ をとる。
$\exists b,b'\in G\ ;ab=e,ab'=e$ とする。
$$ b=be=b(ab')=(ab)b'=eb'=b' $$

$\Box$

定義(群の準同型写像

$G,G'$ を群として、$\phi:G\to G'$ とする。
$\phi$ が準同型である
$\overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow}$ $\forall a,b\in G\ ,\phi(ab)=\phi(a)\phi(b)$

さて、この性質をみたすとなにがうれしいのだろうか。とりあえず、次の命題を証明する。

命題

$G,G'$ を群として、$\phi:G\to G'$ を準同型とする。
このとき、 $$ \phi(1_A)=1_B $$ である。

証明

$\phi(a)=\phi(1_Aa)=\phi(1_A)\phi(a)$ なので、
右から、$\phi(1_A)^{-1}$ をかけると、$1_B=\phi(1_A)$

$\Box$

すなわち、$G$ の単位元は $G'$ の単位元に写るということである。

同様に、$G$ の逆元は $G'$ の逆元に写るというのも示せる。これは演習とする。

では、$G$ から $G'$ への準同型があったらなにがうれしいのだろうか。それは、$G$ の構造を $G'$ の中へ移せる。ということである。
構造とは、$G$ の演算なのど性質である。

f:id:bananake-tai:20170424193426j:plain:w400

定義(同型)

$G,G'$ を群として、$\phi:G\to G'$ とする。
$\phi$ が全単射かつ準同型であるとき、$G$ と $G'$ は同型であるといい、$G\cong G'$ と表す。

さらに、$G$ と $G'$ が同型であるときは、$G$ と $G'$ は同じ構造を持っている。どういうときに役立つかというと、 一見よくわからない群 $G'$ が与えられたときに、$G'$ の構造を調べるために、よく知っている群 $G$ への同型を作れれば、$G$ と $G'$ は同じ構造であるとわかる。

例1

$G$ を群として、$f:G\to G$ を $f=\rm{id}_G$ とすると、$f$ は同型である。

恒等写像全単射であり、準同型であることもすぐわかる。

例2

$n\in \mathbb{Z}_{\geq 0}$ とする。

$f:\mathbb{Z}\to n\mathbb{Z}_{\geq 0}$ を $f(k)=kn$ とすると、$f$ は同型である。

証明

例3

$f:(\mathbb{R},+)\to (\mathbb{R}_{>0},・)$ を $f(x)=e^{x} $ とすると、$f$ は同型である。

証明

$(1)$ 全単射
写像は $\log y$ で与えられる。

$(2)$ 準同型 $\forall x,x'\in \mathbb{R}$ とする。

$f (x+y)=e^{x+y}=e^{x}e^{y}=f (x) f (y)$

例4

${\rm det}:GL_n(\mathbb{R})\to \mathbb{R}^{\times}$ を ${\rm det}(A)=|A|$ とすると、 $\rm{det}$ は準同型となる。

これは、線形代数行列式の性質である。

例5

$f:\mathbb{R}^{\times}\to \mathbb{R}_{>0}$ を $f(x)=|x|$ とすると、$f$ は準同型である。

これも、絶対値の性質をつかうと、準同型である。

例6

$f:(\mathbb{R},+)\to (GL_n(\mathbb{R}),・)$ を $$ f(a)= \left( \begin{array}{c} 1 & a \\ 0 & 1 \end{array} \right) $$ とすると、$f$ は準同型となる。

証明

$\forall a,b\in \mathbb{R}$ をとる。

$ f(a+b)= \left( \begin{array}{c} 1 & a+b \\\ 0 & 1 \end{array} \right) $ $=$ $ \left( \begin{array}{c} 1 & a \\\ 0 & 1 \end{array} \right) $ $ \left( \begin{array}{c} 1 & b \\\ 0 & 1 \end{array} \right) $ $=$ $f(a)f(b)$
$\Box$

さらに、合成写像は準同型を保つ。

命題

$\phi:G_1\to G_2$ $\psi:G_1\to G_3$を準同型とする。
このとき、$\psi\circ\phi$ も準同型となる。

証明

$$ \psi(\phi(xy))=\psi(\phi(x)\phi(y))=\psi(\phi(x))\psi(\phi(y)) $$

$\Box$

演習

  1. $G,G'$ を群として、$\phi:G\to G'$ を準同型とする。
    このとき、 $$ \phi(a^{-1})=\phi(a)^{-1} $$ であることを示せ。
  2. $G,G'$ を群として、$\phi:G\to G'$ を同型とする。
    このとき、逆写像も同型であることを示せ。つまり、全単射の逆写像全単射なので、逆写像も準同型であることを示せ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

雪江明彦, 代数学1, 日本評論社, 2015.