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bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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対称群

群に関しての記事を書いているが、特に重要な対称群とうトピックについて個別に書いていくことにする。
なぜ、対称群が重要なのかというと、5次以上の方程式の場合解の公式がないという定理ついて聞いたことがある人もいるかもしれないが、 それと関わってくる。

定義(対称群)

$X$ を集合とする。
${\rm End}X$ を $X$ 上の対称群といい、${\rm End}X$ の元を置換という。
特に、$X_n=\{1,\dots,n\}$ のとき ${\rm End}X_n$ を $n$ 次対称群といい、${\rm End}X_n$ を $S_n$ と表す。
$n$ が明らかな場合は単に対称群という。

全単射全体が群になるのは、群の例のところで確認したが、この群は可換群とはならない。

次に記法の定義をする。

記法

$S_n$ を対称群とする。
$\forall$ \sigma$\in S_n\forall a_i\in X_n$ に対して、 \sigma$(a_i)=b_i$ とするとき、 \sigma を

 \sigma $ = \left( \begin{array}{c} a_1 & a_2 & \cdots & a_n \\\ b_1 & b_2 & \cdots & b_n \end{array} \right) $

と表す。

なぜ、対称群という名前なのか疑問に思う人がいるとおもうが、少しだけ対称ということについて話す。

お話

$X=\{a,b,c\}$ として、以下の図をイメージしてほしい。

f:id:bananake-tai:20170429220233j:plain:w200

$a,b,c$ がこのような正三角形の頂点にある場合、次のような置換を考えてみる。

 \sigma $ = \left( \begin{array}{c} a & b & c \\\ a & c & b \end{array} \right) $

つまり、図で表すと、以下のようになる。

f:id:bananake-tai:20170429220246j:plain:w400

このような、この移動で対称性が表らわれたのに気付いていただけただろうか。
実は、$a$ から $bc$ へ垂直2等分線をおろし、その直線に対して対称に移動させたのである。

f:id:bananake-tai:20170429220258j:plain:w200

このように、対称と呼ばれる所以が少しは分かっていただけたと思う。

定義(巡回置換)

$S_n$ を対称群とする。
$i_1,\dots ,i_r$ に対して、

 \sigma$(i_1)=i_2\ ,$ \sigma$(i_2)=i_3,\dots,$ \sigma$(i_r)=i_1$

とし、他の元は固定する。このとき、 \sigmaを長さ $r$ の巡回置換といい、

 \sigma$=(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)$

と表す。

定義(互換)

長さが2の巡回置換を互換という。

巡回置換や互換についての性質をとり扱っていく。

命題

$S_n$ を対称群とする。
 \sigma$=(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)$ とする。
このとき、 \sigma$^{-1}=(i_r\ i_{r-1}\ \cdots\ i_1)$ である。

証明

 \tau$=(i_r\ i_{r-1}\ \cdots\ i_1)$ とおく。
$2\leq k\leq r$ にたいして、

 \sigma\tau$(i_k)=$ \sigma(i_{k-1})$=i_k$

$k=r$ のとき

 \sigma\tau$(i_r)=$ \sigma(i_1)$=i_1$
$\Box$

補題

$S_n$ を対称群とする。
このとき $$ (i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)=(i_1\ i_r)(i_1\ i_2\ \cdots\ i_{r-1}) $$ が成立する。

証明

 \sigma$=(i_1\ i_r)\ ,$ \tau$=(i_r,i_{r-1},\dots ,i_1)$ とおく。
$1\leq k\leq r-2$ にたいして、

 \sigma\tau$(i_k)=$ \sigma(i_{k+1})\sigma$=i_{k+1}$

$k=r-1$ のとき

 \sigma\tau$(i_{r-1})=$ \sigma(i_1)\sigma$=i_r$

$k=r$ のとき

 \sigma\tau$(i_{r})=$ \sigma(i_r)\sigma$=i_1$
$\Box$

定理

任意の巡回置換はいくつかの互換の積で表される。

証明

補題を繰り返し用いると、


\begin{eqnarray}
(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)&=&(i_1\ i_r)(i_1\ i_2\ \cdots\ i_{r-1})\\
&=&(i_1\ i_r)(i_1\ i_{r-1})(i_1\ i_2\ \cdots\ i_{r-2})\\
&\vdots&\\
&=&(i_1\ i_r)(i_1\ i_{r-1})(i_1\ i_{r-2})\cdots(i_1\ i_2)
\end{eqnarray}
$\Box$

ただし、注意しなくてはいけないのは、巡回置換の互換の表し方は一意ではない。

$$ \begin{align} (1\ 2\ 3)&=(1\ 3)(1\ 2)\\ &=(1\ 2)(2\ 3) \end{align} $$

演習

  1.  \sigma$\in S_n$ が $\forall k\in X_n$ に対して  \sigma$(k)\leq k$ のとき、 \sigma$=1$ であることを示せ。
  2. $\forall$ \sigma$\in S_n$ と  \tau$=(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)$ に対して、
     \sigma\tau\sigma$^{-1}=($ \sigma$(i_1)$  \sigma$(i_2)$ $\cdots$  \sigma$(i_r))$ が成立する。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

http://www.econ.hit-u.ac.jp/~yamada/algebra_pdf/2_1_2_symmetric_group.pdf
http://mathematics-pdf.com/pdf/symmetric_grp.pdf
http://www2.math.cst.nihon-u.ac.jp/sasaki/wp/wp-content/uploads/2014/12/fa75a316529d0ac746d8f50958ba66ed.pdf