bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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対称群2

以下の記事の続きを書く。 bananake-tai.hatenablog.com

まずは、演習の解説からする。

演習

  1.  \sigma$\in S_n$ が $\forall k\in X_n$ に対して  \sigma$(k)\leq k$ のとき、 \sigma$=1_{X_n}$ であることを示せ。
  2. $\forall$ \sigma$\in S_n$ と  \tau$=(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)$ に対して、
     \sigma\tau\sigma$^{-1}=($ \sigma$(i_1)$  \sigma$(i_2)$ $\cdots$  \sigma$(i_r))$ が成立する。
$\Box$

証明1

 \sigma$\neq1_{X_n}$ と仮定する。
すると、$\exists k\in X_n\ ;$ \sigma$(k)\neq k$
$k_0={\rm min}\{k\in X_n\mid$ \sigma$(k)\neq k\}$ とおく。
すると、  \sigma$(1)=1,\dots ,$ \sigma$(k_0-1)=k_0-1,$ \sigma $(k_0)<k_0$
となる。 \sigma$(k_0)=i$ とすると、仮定より、$i<k_0$
よって、 \sigma$(i)=i$ とならなければならないが、これは、$i=k_0$ となり、矛盾。

$\Box$

証明2

$\forall$ \sigma$\in S_n$ をとる。
$1\leq \forall k\leq r-1$ に対して、

 \sigma\tau\sigma$^{-1}($ \sigma$(i_k)$$)=$ \sigma\tau$(i_k)=$ \sigma$(i_{k+1})$

$k=r$ のとき、

 \sigma\tau\sigma$^{-1}($ \sigma$(i_r)$$)=$ \sigma\tau$(i_r)=$ \sigma$(i_1)$
$\Box$

前回同様、対称群の性質について調べていく。

定義(巡回域)

$S_n$ を対称群とする。
 \sigma$=(i_1\ i_2\ \cdots\ i_r)$ なる巡回置換に対して、 $$ \{i_1,i_2,\dots ,i_r\} $$ を \sigmaの巡回域という。

前回の命題から、 \sigma \sigma$^{-1}$ の巡回域は一致する。

定義(互いに素)

$\forall$ \sigma ,\tau$\in S_n$ に対して、 $A,A'$ をそれぞれ、 \sigma ,\tauの巡回域とする。
 \sigma ,\tauが互いに素である $\overset{\mathrm{def}}{\Leftrightarrow}$ $A\cap A'=\varnothing$

一般的に、対称群は可換ではないが、ある条件のときに2つの元は可換になる。

命題1

互いに素な2つの巡回置換は可換である。

証明

$\forall$ \sigma ,\tau$\in S_n$ を互いに素な巡回置換とする。
それぞれの巡回域を $A,A'$ とする。

$\forall i\in X_n$ に対して、次の3通りが考えられる。
$(1)\ i\in A$
$(2)\ i\in A'$
$(3)\ i\notin A \land i\notin A'$

$\underline{(1)}$
今、$A\cap A'=\varnothing$ なので、$i\notin A'$ である。
よって、 \tau$(i)=i$ なので、 \sigma\tau$(i)=$ \sigma$(i)$
また、 \sigma$(i)\notin A'$ でもあるので、 \tau\sigma$(i)=$ \sigma$(i)$

$(2)$ も同様に証明できる。

$\underline{(3)}$
仮定より、 \sigma$(i)=i$ かつ  \tau$(i)=i$
よって、 \sigma\tau$(i)=$ \sigma$(i)=i$
また、 \tau\sigma$(i)=$ \tau$(i)=i$

$\Box$

定理1

任意の置換$($ \sigma$\neq 1)$はいくつかの巡回置換の積として表せる。

証明

$\forall$ \sigma$\in S_n$ をとり、帰納法で証明する。
$n=2$ のときは明らか。

$k<n$ に対して主張が成り立つと仮定する。
$n=k$ のときを考える。
 \sigma$(n)=n$ のときは、 \sigma\in S_{n-1} と考えられるので成立する。
 \sigma$(n)\neq n$ のときは、 \tau$=($ \sigma$(n)\ n)$ とおく。
すると、 \tau\sigma$(n)=n$ なので、 \tau\sigma \in S_{n-1} となる。
帰納法の仮定より、  \tau\sigma$=$ \tau_1\cdots\tau_k と、いくつかの巡回置換の積として表せる。
よって、 \sigma$=$ \tau^{-1}\tau_1\cdots\tau_k となり、主張が成り立つ。

$\Box$

定理1は命題2の同値関係を用いた方法もある。
この命題は自明なように思えるが、かなり重要で、結局なにを言っているのかというと、対称群を調べたかったら巡回置換を調べなさいと言っているのである。

系1

任意の置換$($ \sigma$\neq 1)$は、いくつかの互換の積で表せる。

証明

任意の置換はいくつかの巡回置換の積で表され、任意の巡回置換はいくつかの互換の積で表せるので、系は成り立つ。

$\Box$

ある群の生成元が分かるとその群はある程度分かったものとされる。その意味である群の生成元を求めるのは重要である。

命題

$n\geq 2$ のとき、$S_n$ は互換 $$ (1\ 2),(1\ 3),\dots ,(1\ n) $$ によって生成される。

証明

系1より、任意の置換はいくつかの互換の積で表せるので、互換の生成元を求めればよい。
$\forall i,j\in X_n$ に対して、 $$ (i\ j)=(1\ i)(1\ j)(1\ i) $$ となる。よって、任意の互換は $(1\ k)$ という形をしている。

$\Box$

演習

  1. $n\geq 2$ のとき、$S_n$ は互換 $$ (1\ 2),(2\ 3),\dots ,(n\ n-1) $$ によって生成されることを示せ。

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

http://www.econ.hit-u.ac.jp/~yamada/algebra_pdf/2_1_2_symmetric_group.pdf
http://mathematics-pdf.com/pdf/symmetric_grp.pdf
http://www2.math.cst.nihon-u.ac.jp/sasaki/wp/wp-content/uploads/2014/12/fa75a316529d0ac746d8f50958ba66ed.pdf http://sci.kj.yamagata-u.ac.jp/~waki/jpn/GroupText.pdf