bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

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群の作用

以下の記事の続きを書く。

bananake-tai.hatenablog.com

対称群や2面体群は複雑な群であったが、それぞれ要素の並べ変えや、平面の変換と考えることで、 その群の性質をとらえることができた。このような考えの一般化が群の作用である。

定義

$G$ を群、$X$ を集合とする。 $\phi:G\times X\to X$ が次を満たすとき、$G$ の $X$ への左作用という。
$ (1)\ \phi(1,x)=x \\ (2)\ \phi(g,\phi(h,x))=\phi(gh,x) $ このとき、$G$ は $X$ に左から作用するという。

例(自明な作用)

$G$ を群、$X$ を集合とする。
$\phi:G\times X\to X$ を $\phi(g,x)=x$ と定義すると、
$G$ は $X$ に左から作用する。

$\phi:GL_{n}(\mathbb{R})\times \mathbb{R}^{n}\to \mathbb{R}^{n}$ を $\phi(A,v)=Av$ と定義すると、
$G$ は $X$ に左から作用する。

$\phi:S_n\times I_n\to I_n$ を \phi(\sigma,i)=\sigma (i) と定義すると、
$G$ は $X$ に左から作用する。

例(共役による作用)

$G$ を群とする。
$\phi:G\times X\to G$ を $\phi(g,x)=gxg^{-1}$ と定義すると、 $G$ は $X$ に左から作用する。

証明

$(1)$ $\phi(1,x)=1x1^{-1}=x$

$(2)$
$\phi(g,\phi(h,x))=\phi(g,hxh^{-1})=ghxh^{-1}g^{-1}=ghx(gh)^{-1}=\phi(gh,x)$

$G$ の $X$ への作用があったとき、作用で移る点全体を考察する。

定義

$G$ は $X$ に作用しているとする。
$x\in X$ とする。
$$ {\rm Orb}_{G}(x)=\{gx\mid g\in G\} $$ を $x$ の $G$ による軌道という。
$$ {\rm St}_{G}(x)=\{g\in G\mid gx=x \} $$ を $x$ の安定化群という。

安定化群とはつまり、$G$ によって動かないような $G$ の元全体である。

$SO_{2}(\mathbb{R})$ は $\mathbb{R}^{2}$ に自然に作用する。
$x=(1,0)\in \mathbb{R}^{2}$ とすると、
${\rm Orb}_{G}(x)=\{(\cos\theta,\sin\theta)\mid \theta\in \mathbb{R}\}=\{(x,y)\mid x^{2}+y^{2}=1\}$

命題

$G$ は $X$ に作用しているとする。
$\forall x\in X$ に対して、${\rm St}_{G}(x)$ は $G$ の部分群である。

証明

$\forall g,h\in {\rm St}_{G}(x)$ をとる。
$g^{-1}hx=g^{-1}x=x$
よって、$g^{-1}h\in {\rm St}_{G}(x)$

$\Box$

命題

$群G$ は 集合 $X$ に作用しているとする。
$\forall x,y\in X$ に対して、 $$ x\sim y \Leftrightarrow y\in {\rm Orb}_{G}(x) $$ と定義すると、すると、$\sim$ は $X$ 上の同値関係となる。
よって、この同値関係による剰余類は $X$ 上の軌道に対応する。
この同値関係による商集合を $X/G$ とかく。

証明

$(1)$ 反射律
$g=1$ とすれば、$1x=x$ なので、$x\in {\rm Orb}_{G}(x)$

$(2)$ 対称律 $x\sim y$ とする。
$y\in {\rm Orb}_{G}(x)$ なので、$\exists g\in G;\ y=gx$
よって、$x=g^{-1}y$ なので、$x\in {\rm Orb}_{G}(y)$
すなわち、$y\sim x$

$(3)$ 推移律
$x\sim y,\ y\sim z$ とする。
$y\in {\rm Orb}_{G}(x)$ なので、$\exists g\in G;\ y=gx$
$z\in {\rm Orb}_{G}(y)$ なので、$\exists h\in G;\ z=h y$
よって、$h^{-1}z=gx \Leftrightarrow z=hgx$ なので、$z\in {\rm Orb}_{G}(x)$
すなわち、$x\sim z$

$\Box$

命題

$G$ は $X$ に作用しているとする。
$x\in X$ とする。
$\phi:{\rm Orb}_{G}(x)\to G/{\rm St}_{G}(x)$ を $\phi(gx)=g{\rm St}_{G}(x)$ と定義すると、全単射である。
よって、$|{\rm Orb}_{G}(x)|=|G/{\rm St}_{G}(x)|=|G:{\rm St}_{G}(x)|$ なので、$|G|<\infty$ ならラグランジュの定理より $$ |{\rm Orb}_{G}(x)|=|G|/|{\rm St}_{G}(x)| $$ が成立する。

証明

$$ \begin{align} g_{1}x=g_{2}x&\Leftrightarrow g_{2}^{-1}g_1x=x \\ &\Leftrightarrow g_{2}^{-1}g_{1}\in {\rm St}_{G}(x) \\ &\Leftrightarrow g_{1}\in g_{2}{\rm St}_{G}(x) \\ &\Leftrightarrow g_{1}{\rm St}_{G}(x)=g_{2}{\rm St}_{G}(x) \end{align} $$

よって、$\phi$ はwelld-defined であり、全単射である。

$\Box$

参考文献

雪江明彦, 代数学1, 日本評論社, 2015.
新妻 弘, 群・環・体 入門, 共立出版, 2016.