bananake-tai’s diary

大学数学初学者のブログ

注意:スマホからのアクセスは、PC版でご覧してもらうとまく表示されます。

シローの定理(2)

以下の記事の続きを書く。 bananake-tai.hatenablog.com

補題

$G$ を群とし、$N\lhd G$ とする。
このとき、$\forall H<G/N\ ,\exists K<G\ ;K/N\cong H$ が成立する。

証明

$\pi:G\to G/N$ を自然な凖同型とする。
$K=\pi^{-1}(H)$ とおくと、$K<G$
$\pi$ の $K$ への制限を、$\pi\mid_{K}:K\to G/N$ とすると、${\rm ker}(\pi\mid_{K})=K\cap N=N$
$\pi$ は全射なので、$\pi(K)=H$ となる。

よって、$\pi\mid_{K}:K\to H$ は全射なので、凖同型定理より、$K/N\cong H$

$\Box$

次の定理も重要である。

定理

$G$ を有限群、$p$ を素数、$p^{k}\mid |G|\ (k\geq 0)$ このとき、$G$ は位数 $p^{k}$ 部分群を含む。

証明

$(1) |G|=1$ のとき
このとき、$p^{0}=1$ なので、$G$ 自身が求める部分群である。

$(2) |G|>1$ のとき
$|H|<|G|$ なる 有限群 $H$ に対して、定理の主張を満たすと仮定する。

$\exists H<G\ ;p\nmid |G:H|$ のとき
$|G|=|G:H||H|$ なので、$p^{k}\mid |H|$
よって、帰納法の仮定より、$H$ は 位数 $P^{k}$ の部分群を含む。

$\forall H<G\ ,p\mid |G:H|$ のとき
$p\mid Z(G)$ なので、$\exists a\in Z(G)\ ;ord(a)=p$
$N=<a>$ とおくと、$N\lhd G$ なので、$G/N$ は群になる。
$|G:N|=|G|/p$ なので、$|G:N|<|G|$ となり、帰納法の仮定より、$\exists B<G/N\ ;|B|=\ $ p^{k-1}
補題より、$\exists K<G\ ;K/N\cong B$
よって、$|K|/|p|=|K/N|=|B|=\ $ p^{k-1}
すなわち、$|K|=p^{k}$

$\Box$

定義(正規化群)

$G$ を群とし、$H<G$ とする。
$$ N_{G}(H)=\{g\in G \mid g^{-1}Hg\} $$ を正規化群という。

共役という作用を考えることで、いろいろなことがわかったが、集合に対しても共役というのを定義する。

定義

$G$ を群とし、$H\subset G$ と $g\in G$ に対して、 $$ gHg^{-1}=\{gxg^{-1}\mid x\in H\} $$ を $H$ の $g$ による共役集合という。

省略するが、$H<G$ なら $gHg^{-1}$ も $G$ の部分群となる。

定義

$G$ を群とし、$H,H'\subset G$ とする。
$\exists g\in G\ ;H'=g^{-1}Hg$ となるとき、 $H$ と $H'$ は共役であるという。
また、$H<G$ のとき、$H$ と共役な部分群全体の集合を $H$ の共役類とPう。

次の補題を示す。

補題

$G$ を群とし、$H<G$ とする。
$H$ の共役類を $S$ とすると、$|G/N_{G}(H)|=|S|$
さらに、$G$ が有限群なら、$|G|/|N_{G}(H)|=|S|$ となる。

証明

$B$ を $G$ の部分群全体の集合とする。
$f:G\times B\to B\ ,f(g,H)=gHg^{-1}$ とすると、
$f$ は $G$ の $B$ への作用となる。
いま、$Orb(H)=\{gHg^{-1}\mid g\in G\}=S$ であり、$St(B)=\{g\in G\mid gBg^{-1}=B\}=N_{G}(S)$ である。
$Orb(H)=|G/St(G)|$ なので、$|S|=|G/N_{G}(S)|$

$\Box$

定義

$G$ を群とし、$|G|=p^{e}n$ ただし、$gcd(p,n)=1$ とする。
$H<G$ で、$|H|=p^{e}$ となるものを、$G$ のシロー$p$-部分群という。
$G$ のシロー$p$-部分群全体の集合を $Syl_{p}(G)$ で表す。

省略するが、$H$ が $G$ のシロー$p$-部分群なら $gHg^{-1}$ も $G$ のシロー$p$-部分群となる。

定義

$G$ を有限群 $G$ が $p$ べきのとき、$G$ を $p$-群という。
$H<G$ で $H$ が $p$ べきのとき、$H$ を $G$ の $p$-部分群という。

ここで、ようやくシローの定理の証明にはいれる。
以下の4つをまとめて、シローの定理と呼ぶことにする。

定理(シローの定理

$G$ を有限群とし、$|G|=p^{e}n$ ただし、$gcd(p,n)=1$ とする。
$(1)$ $G$ のシロー$p$-部分群は存在する。
$(2)$ $K$ が $G$ の $p$-部分群なら、$K\subset R$ なる $G$ のシロー$p$-部分群 $R$ が存在する。
$(3)$ すべての $G$ のシロー$p$-部分群は共役である。
$(4)$ $|Syl_{p}(G)|\equiv 1\mod p$

証明

$\underline{(1)}$
上の定理より成り立つ。

$\underline{(2)}$
$H\in Syl_{p}(G)$ をとる。
今、$|H|=p^{e}$ なので、 $|G/H|=|G|/|H|=n$ である。
$K$ の $G/H$ への積作用を考える。
$G/H$ が $K$ の作用による軌道の直和表されてるとすると、 $$ |G/H|=\sum_{i}|Orb(x_{i})| $$ となる。
$|G/H|=n$ なので、$p\nmid Orb(x_{k})$ なる $K$ の軌道が存在する。
$|Orb(x_{i})|=|K|/|St(x_{i})|$ なので、$|Orb(x_{i})|$ は $K$ の約数である。
よって、$|Orb(x_{k})|=1$ となるしかない。
$Orb(x_{k})={gH}$ とすると、これは、$\forall k\in K\ ,kgH=gH$ を意味する。
よって、$kg\in gH\Leftrightarrow k\in gHg^{-1}=R$ が任意の $k\in K$ に対して成り立つので、 $K\subset R$

$\underline{(3)}$
$H、K\in Syl_{p}(G)$ とすると、$|H|=|K|=p^{e}$ であり、 $(2)$ と同様に、$K\subset gHg^{-1}$ なので、$K=gHg^{-1}$

$\underline{(4)}$
$H\in Syl_{p}(G)=X$ 1つをとる。
$H$ の $Syl_{p}(G)$ への共役作用を考える。
$X^{H}$ を固定点全体の集合とすると、$X^{H}\neq \varnothing$ である。
なぜなら、$\forall h\in H\ ,hHh^{-1}=H$ なので、$H\in X^{H}$
$X$ を $H$ の作用による軌道の直和で表すと、
$$ |X|=\sum_{i}|C(H_{i})| $$ となる。必要なら番号をつけかえて、$X^{H}=\{H=H_{1},\dots ,H_{s}\}$ とする。
$|X^{H}|=1$ となることを示す。
$H\neq Q\in X^{H}$ とすると、$\forall a\in H\ ,aQa^{-1}=Q$ なので、$H\subset N_{G}(Q)$
また、$Q\subset N_{G}(Q)$ で $|N_{G}(Q)|\mid |G|$ なので $|N_{G}(Q)|=p^{e}n'$ となる。
よって、$H,Q$ は $N_{G}(Q)$ のシロー$p$-部分群なので、$(3)$ より、$\exists x\in N_{G}(Q)\ ;xQx^{-1}=H$
一方、$N_{G}(Q)$ の定義より、$xQx^{-1}=Q$ なので、$H=Q$
すなわち、$|X^{H}|=1$ であり、$X^{H}=\{H\}$ を意味する。
$H\in X^{H}\Leftrightarrow |C(H)|=1$ であることに注意すると、
$$ |X|=1+\sum_{i\neq 1}|C(H_{i})| $$ $i\neq 1$ なら $|C(H_{i})|\mid |G|$ であり、$|C(H_{i})|>1$ なので、$p\mid |C(H_{i})|$ である。
よって、$|X|=|Syl_{p}(G)|\equiv 1\mod p$
特に、補題と $(3)$ を使えば、$|X|=|G|/|N_{G}(H)|\equiv 1\mod p$

$\Box$

間違いや、感想がありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

参考文献

雪江明彦, 代数学1, 日本評論社, 2015.
新妻 弘, 群・環・体 入門, 共立出版, 2016.
http://mathematics-pdf.com/pdf/sylow_thm.pdf